既にAlmaLinux 9.3 Stableが公開されていますが、Raspberry Pi 用のイメージも公開されています。こちらは、2023年11月27日付となっていますから2週間遅れほどで公開されたようです。
AlmaLinuxのRaspberry Pi用のGitHubリポジトリーでは、パッケージとしてraspberrypi用のuserlandが追加されていますので、2023年9月20日にご紹介していたパッケージが正式版として登録されることになっています。
2023/09/20 AlmaLinux 第23回「AlmaLinuxのRaspberry Pi用パッケージ」
もちろん正式なパッケージとして登録されていますので、dnf install raspberrypi-userland
として追加インストールすることが出来るようになりました。
RHEL 9.3対応になっている点を除いて、Raspberry Pi用としてみた場合に大きな違いはないのですがconfig.txt
ではディスプレイドライバーとしてKMS
の設定がされていますが、Raspberry Pi 4で使う場合にはmax_framebuffers=2
のコメントを外してarm_boost=1
の設定を追加した方が良いものと思われます。
また、以前スワップファイルがパーティションで設定されていたこともあったのですが、このバージョンではスワップファイルとして/swapfile
に100MB
が設定されています。
$ swapon -s
Filename Type Size Used Priority
/swapfile file 102396 0 -2
userlandパッケージ用の権限設定
今回のバージョンで、userlandパッケージが追加されているのですが、現状ではroot
権限が無いと実行することが出来ませんのでsudo
を使う必要があります。この対応として、従来のRaspberry Pi OS相当で動かすためには、権限設定を追加すれば良いのですが具体的な方法としては以下のページを参照して下さい。
2023/09/05 第9回「AlmaLinuxでRaspberry Pi用のvcgencmdをビルドする」
このページの「alma
のような一般ユーザーがsudo
無しで実行出来るように設定」の箇所の操作となります。
最新のRaspberry Pi OSとの違い
現在、最新のRaspberry Pi OSはRaspberry Pi 5対応とDebian 12ベースになっていることから、大幅な追加・変更が加えられています。
例えば、今回AlmaLinuxのRaspberry Pi版として追加されているuserland
のパッケージですが、Raspberry Pi用のGitHubリポジトリーでは従来userland
にvcgencmd
などが登録されていたものが、現在ではutils
の方に移動されていたりします。合わせて、ディスプレイドライバーがKMS
に移行していることからtvservice
コマンドは廃止されていてkms++utils
パッケージにあるkmsprint
が使われるようになって来ています。
AlmaLinuxがRaspberry Pi 5に対応してくるには、まだ時間が必要ということになりますでしょうか。
2023/09/30 Raspberry Pi 5がやって来る