Raspberry Pi 5用ブートローダー2025-01-22版の公開
Raspberry Pi 5用のブートローダーの新しいバージョンがDefault
として公開されました。今回のバージョンは、2025-01-22版になります。
前回のDefault
は、2024-11-12版でしたから、これまでに多くの修正が施されたものとなっています。
NUMA対応とリフレッシュタイムングの改善
概要で見ていきますと、2024-12-07付でEnable banklow (and so NUMA) by default (latest) としてRaspberry PiでNUMAが既定値として有効化されています。従来はNUMAに対応したカーネルを使用している場合でも、ブートローダー構成でBANKLOWの設定を追加しないとNUMAが有効化されませんでしたが、このような設定を追加しないでも既定で有効化されることになりました。
Raspberry PiでのNUMA対応については、次のフォーラムの投稿があります。
2024/10/22 NUMA Testing Raspberry Pi Forum
このフォーラムの記事では、Raspberry Pi 4およびRaspberry Pi 5の8GB版では特定の条件の場合4GB版よりも遅くなることがあり、それはSDRAMのリフレッシュタイミングの問題でメモリーサイズが大きくなるほどリフレッシュに要する時間が長くなるためとされています。この対応としてリフレッシュタイミングの調整が行われることで、パフォーマンスが改善されています。
さらに、Raspberry PiではCPUが4コアありますが複数のコアがSDRAMにアクセスすると競合が発生することで遅延してしまう場合があるとされ、その対応としてNUMAを使用することでパフォーマンスの向上が図られています。
参考: Raspberry Pi 5 16GBとNUMAの設定
その他の修正点
その他にも、2025-01-13: Improved SDRAM timings for Pi5 16GB (latest) としてRaspberry Pi 5の16GB版でのSDRAMのリフレッシュタイミングが改善されたり、ブートローダー構成としてPOWER_OFF_ON_HALT=1
とWAIT_FOR_POWER_BUTTON=1
が設定されている場合には起動時に電源ボタンが押下されるかRTCアラームが発生するのを待つオプションが追加されています。
Raspberry Pi 5の16GBでNVMe M.2 SSDをPCIe Gen 3.0で使用して問題があった場合がありましたが、その際にも使用したLatest
版が早くもDefault
として使用できるようになりNUMA対応などでパフォーマンスが改善されているというのは嬉しいことです。
このNUMA対応では、Geekbench 6で最大18%パフォーマンスが向上する場合があるとも言われています。
2024/07/12 NUMA Emulation speeds up Pi 5 (and other improvements) Jeff Geerling